私の母が、アルツハイマー型認知症だと解ったのは、父の在宅介護が始まった時でした。
少し様子が変だと思っても、娘である私は、母の痴呆症を疑うことはありませんでした。
母の様子がおかしいと気づいたのは、家族ではありませんでした。
母の痴呆症に家族が気づかなかった訳
父が脳梗塞で倒れる前日まで、私の両親は2人で飲食店を経営していました。
突然父が倒れ介護生活が始まって、母の生活は一変してしまったのです。
その頃から私は、母の言動がおかしかったり、少し前に言ったことを忘れていることに気が付いていました。
でも、それは母が、生活の変化についていけず、気が動転しているからだと思っていました。思っていたのではなく、思いたかったのです。
母の認知症に気づいたきっかけ
母の認知症に気が付いたのは、父の介護のために頼んだケアマネージャーさんでした。
母を「物忘れ外来」に受診させてみては?と勧められました。
それでも、私は母を病院に連れていきませんでした。
理由は、父の介護があるので、私と母が同時に家を空けることできないからです。
母を1人で受診させる訳にはいきません。私が母と一緒に病院に行ってしまうと、寝たきりの父に付き添う人がいなくなってしまいます。
色々と理由をつけましたが、本当は心の中に「母は大丈夫」と、信じたい気持ちがあったのだと思います。
物忘れ外来を受診したきっかけ
在宅介護の父は、検査のために数ヶ月に1度病院に入院します。
そのとき、父が入院した病院に、たまたま「物忘れ外来」がありました。
私は、嫌がる母を、ものはためしにと「物忘れ外来」に受診させました。
受診した結果、母は「アルツハイマー型痴呆症」であると診断されました。
それも、受診させるずっと以前から、父が倒れる前から、発症していたのではないかと言われました。
落ち込む母に、
「早く気が付いてよかったね。今は薬で進行を遅くできるんだよ」
「ケアマネージャーさんに感謝しなくちゃね。発見が遅れていたら取り返しがつかなくなっていたよ」と明るく慰めました。
でも本当は、父の介護が大変なのに、母までも・・・と、私は泣きたいくらい悲しい気持ちでした。
親の物忘れがひどいなと感じたら
今回、母の痴呆症に一番最初に気づいたのは、父のケアマネージャーさんです。
それは、ケアマネージャーさんが他人であったから、冷静な目で見ることができたからだと思います。
自分の親が、「少しおかしいな」とか「物忘れがひどいな」と思っても、家族だからこそ、疑いたくない気持ちがあると思います。
親に痴呆症の検査を受けさせることは、勇気がいります。
でも、受診して何もなければ「よかったね」と安心することができます。
もし、アルツハイマーと診断されても、早く発見すれば、進行を遅らせる薬があります。
少しでも長い時間、普通の生活を送るために、アルツハイマーは早期に発見して、治療を始めることが大切だと思います。
もし、あなたの親がおかしいな、物忘れがひどいなと感じたら・・・。
あなたは、親を受診させる勇気がありますか?
アルツハイマーは、薬で進行を遅らせる事ができる病気です。